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江戸初期の鎖国政策で、当時日本に在住していたオランダ人やイギリス人は、日本人妻や子どもと一緒に「じゃがたら(=現・ジャカルタ)」に退去させられました。「じゃがたらぶみ」とは、故郷を追われた日本人が、「日本恋しや」とふるさとの親戚知人に送った手紙”ジャガタラ文”のことを指します。本書は、南蛮文化をテーマとして、多くの作品を制作した版画家・川上澄生が、「じゃがたらぶみ」をモチーフとして制作した絵物語。南蛮船、洋装の婦人など著者好みの絵柄が、墨色の版画と手彩色による着色で美しく描かれた一冊です。
元となる作品は、昭和16年の国画会展のために、横長の額装作品として制作され、のちに書籍として日本民芸協会から37部刊行されました。本書は、その原本を忠実に再現し復刊されたもの。柾目で取った杉板を使用した表紙には、シルクスクリーン印刷と手彩色を併用した表紙画が描かれています。本文は、和紙の折本仕立て。ダンボール製の保存用外箱に経年による傷みが若干見られる。和紙貼の夫婦函には目立つ傷みなし。本体小口に経年によるシミがわずか見られる程度、中身は美品。復刊版として東峰書房より1974年発行の初版。限定500部刊行のうちの34番。
Title/ じゃがたらぶみ
Author/ 川上澄生
Published/ 東峰書房 1974
Notes/ Hardcover 190×128mm 182p